迎  春

『あなたがたはすべての人と平和に暮らしなさい』(ローマの信徒への手紙12:18)

 皆様ご健勝にて新しい年をお迎えになりましたこととお慶び申し上げます。


 20世紀の悲惨さを繰り返さないことを期待して始まったばかりの21世紀の最初の年であった昨年、想像を絶する無差別多発テロ事件が起こり平和への脅威に心痛める日々の中私たちは生きています。同時に、飢餓・貧困・環境破壊・経済格差・差別偏見などの構造的な暴力・不正義から発せられる課題にわたしたちはどの様に平和構築のための努力をなさなければならないか、また、地球市民の一人ひとりに、先ず身近の地域社会で安心して平和に暮らせるコミュニティづくりとは何なのかが問われています。
 今こそYMCAの働きを強めていかなければならないと痛感いたしておりますが、それは、地球市民社会に生きるYMCAとして、また、各地域に生きるYMCAとして、その運動を世界・地域、そして人々のニーズに応えつつ日々の働きを強めていくことにほかなりません。
 本年も皆様のご支援とご指導をお願い申し上げますとともに、主にある平安を心よりお祈り致します。

総主事 山口 徹 理事長 宮田満雄


第10回YMCAセミナー

「すべての人と平和に過ごしなさい」

過去9年間、様々な課題にアプローチしてきたYMCAセミナー、今年は緊迫したアフガン情勢に真っ向から取り組むものとなりました。米国の同時多発テロに際し、世界の宗教者/団体による「声明」が多く出されはしたものの、具体的な宗教間対話、他宗教理解などの動きは不十分との認識から「イスラム理解」並びに「近代キリスト教#癆サ」のテーマが設定され、前者は高階美行さん(大阪外国語大学教授/言語学・アラビア語)、後者は岩井健作さん(日本基督教団神戸教会牧師)の講演となりました。

12月1日は約60名の参加を得、下村俊子さん(キリスト教使命委員会副委員長)の司会で、まず高階さんから「アラブ・イスラム社会の真実」と題し講演が行われました。

イスラムとは?

 イスラムは単なる宗教ではなく西アジア都市文明に適合した社会システムの総体であり、その中で平等、共存、都市間ネットワークという概念が西欧社会より遙か以前に確立していたこと、そして「自己責任による信仰行動」を基調に、多様性を内包していることが強調されました。その結果、民衆の意識は宗教・文化・民族・出自・血縁・街区などの重層構造であり、その優先順位は個人レベルで頻繁に変化すること、中でも国家は彼らにとって最も新しく最も希薄な概念であるということが指摘されました。またその教えの面においても他宗教、特にキリスト教・ユダヤ教と敵対しない内容をもつことが例を引いて語られました。

多様性と共存

 つまりイスラムはそもそも複合的エスニシティの共存という現実に立脚した、いわゆる近代西欧主義的社会システムとは全く別個のシステムであることを理解する必要があり、敵対を前提とするのではなく、お互いの相違を楽しむゆとりが私たちに求められていること、その上での「多様性と共存」が 世紀におけるキーワードであると締めくくられました。

問われるキリスト教

 引き続き「キリスト教≠ノおける平和の虚像」と題し岩井牧師からの発題があり、中村哲医師の著書を引用しながら熱狂的キリスト教≠ェいかに現地の人々に対し干渉・妨害となっているか、さらには「ローマの平和」「アメリカの平和」を引いていわゆるキリスト教がいかに善意の一極支配をなしてきたか、その「絶対的絶対性」が平和の虚像を生み出している。ならば「相対的絶対性」(相互関係および自己革新)に立って自らを問い直すことが今必要なことだ、と重い課題を聴衆に突きつけられました。

神戸の独自性

 ついで神田健次さん(キリスト教使命委員会委員長)からWCC「キリスト者とムスリムの関係―エキュメニカルな考察」の日本語訳の解説があり、具体的な宗教間対話の事例が示され、最後に在日パレスティナ人ムスリム女性が、日本ではイスラムに対する偏見、無理解が大きく暮らしにくい状況があったが、神戸においては異なる宗教、文化が緩やかに融合していて第2の故郷とも思えるとの証言があり、一同は神戸独特の地域性の意味を確認することとなりました。

 現在の状況下で私たちのなすべきことは多くありますが、自らの信仰においてその立つ位置を問い直し、互いの違いを認め合いつつ対話し、和解することの重要性を認識することが今、求められています。そのうえでアフガンの冬、神戸の冬を捉えてゆきたいと切実に思います。  (文責:事務局)


第 27 回 新 春 懇 談 会

平和教育とYMCA

日 時 : 2002年1月12日(土) 午後6時〜8時30分
(午後5時〜受付開始、6時〜会食、7時〜懇談会)
場 所 : 神戸YMCA 4Fレストラン及びチャペル
会 費 : 3,000円(お食事代を含みます)
テーマ : 「平和教育とYMCA」
講 師 : 守下 昌輝氏
(広島YMCA常議員・学校法人理事、元広島YMCA副総主事)
コメンテ-ター: ロニー・アレキサンダー氏
(神戸大学大学院国際協力研究科教授、神戸YMCA国際活動委員)
*なお、準備の都合上、1月9日までにお申し込みください
新春懇談会事務局 Tel:078-241-7201/Fax:078-241-7479


省 察

◆昨年は児童虐待に関する痛ましい事件が相次いだ。一昨年施行された児童虐待防止法は、虐待を早期発見し子供の保護を促すため児童相談所の権限を強化した
◆しかし現場は、相談の急増に対する体制が実態に追いつかないと訴えている。だが、最も気がかりは自治体、保健所、児童相談所など関係機関の働きが対処療法にしか過ぎないといわれることである
◆なぜ虐待をするのか?との疑問に専門家は、我が子を死に至らしめる加害者像に「愛されたことがなく愛し方分からない」親たちという共通点を見出している。加害者もまた子どものころ虐待やそれに近い経験をしたケースが多い
◆こうした場合対処療法的に一時の虐待を阻止できても、虐待する親の更正や再発防止策が手付かずであるため親の元へ還った子供が悲惨な結末を迎えてしまう。努力した関係機関の落胆は大きい
◆親が自分の問題に気付き理解する指導の場が必要ではないか。YMCAは行政にないフットワークで問題に対処できる組織であると認識している。問題解決のために現場の声を聞き入れ、世界的ネットワークで専門家を連携し、行政の取り組みと現場の実態との間をつなぐ。虐待問題へのYMCAのリーダーシップに期待する。(長井 慎吾)


平和教育特集

世紀。グローバルでボーダーレスな社会情勢にあって、国内外各地で紛争・災害・貧困・格差・搾取・偏見や人権侵害など構造的な暴力と不均衡、不適切な関係が広がっている昨今。平和と公正を願い、それぞれのコミュニティーで青少年を中心とした教育実践を積み重ねてきたNGOであるYMCAのミッションと果たすべき役割について、1/2月号、3月号と2回にわたり考えてみたい。特に「平和教育の重要性」という視点で、神戸YMCA生涯教育委員長小西孝彦さんと、同総主事山口徹さんに語り合っていただいた。

現在の状況と平和の概念

小西  世紀の初めに平和を考えることは、非常に意味が深いと思います。 世紀は国家が我々の安全を守ってくれるという前提があった。そのために、国と国との戦争が行われた。ところが、 世紀に入って、特に2001年9月 日の米国同時多発テロ以来、国が我々を守ってくれるというのは不可能だということが分かった。とすると、自分の身は自分で守るという大原則、それと同時に、平和教育、つまり平和の概念をいかに持つかということが、 世紀に与えられた一番大きなテーマではないかと思います。
 9月 日にテロが起こった後、米国の大統領が戦争を宣言しました。日本では「同時多発テロ」と言っていますが、米国では「新しい戦争」という言葉を使っています。この違い、どちらが正しいか判断できないけれども、その違いを考えていく必要はあると思います。もしこれが戦争だとすると、今まで 年間、YMCAでも日本の学校でも一生懸命に教えていた戦争はいけない、憲法9条によって戦争を放棄するという、唯一我々の平和の基本としてきたことを否定される事態になる。でもアフガンの現在の状況は、まさに戦争で、日本はそれに加担している。それで今一番困っているのは、学校の先生でしょう。子どもたちにウソはつけない。平和が大事だと言いながら、戦争も認めざるを得ないのか、日本がやっていることをどう教えていくのか、ということは、 世紀における大きな問題です。
 一方、9月 日に東京の国立千鳥が淵戦没者墓苑で追悼式があり、そのとき千代田学園中学3年飯田祐奈さんが「平和」という作文を披露しました。その中に「戦争では必ず大切なものや人を失います。勝っても負けても大切なものを失うのは同じです。戦争によって平和が訪れることは絶対にありません」という文章があった。ここのところは、一番大事な点だと私も考えています。
山口 小西さんが 世紀と 世紀の相違をおっしゃられましたが、山口つよしという人―彼は1969年に私が一緒にシアトルに行ったメンバーの1人で、後に英国、中国大使を歴任され、現在衆議院議員の方ですが―彼がキッシンジャーと 月 日に会っているのです。彼はその報告の中で、「もともとキッシンジャー博士は軍事力が国力のもっとも大事な要素だという認識ですが、9月 日の米国同時多発テロ事件以降は、その見方に若干の変化があるのではないか」さらに具体的には炭疽菌テロなどによって「軍隊によって国を守るという考え方が古くなったという面が出てきている」ことを、彼は考慮し始めているのではと書いておられます。私としては、国家間の戦争、軍事との関連でとらえる平和は、今根底から問い直されてきている、そう感じています。
小西 米国のラムズフェルド国防長官が、「新しい戦争の形」とは「目に見えない戦争」なのだということを言っています。誰を相手にしているのか、目に見えないわけです。しかし、日本は「Show the flag」という言葉に乗って、目に見える行動をしようとしている、そこに大変矛盾があることを指摘せざるを得ないですね。


YMCA平和教育の基本線


山口 私は、YMCAにおける平和教育というのは「全人教育」に徹し、その実現に努力することだと思いますし、平和というのは国家間、個人間、民族間いずれにしても一方通行では成立しない、という原則を持っておく必要性も一方で思います。
小西 今おっしゃられたことは、学校教育とYMCA教育との違いでもありますね。学校教育は教えればいい、極端に言えば一方通行です。しかしYMCAは教えるのでなくやってみることが大切、ということですね。学校は概念を教えるけれども、YMCAは実行する機関で、YMCAの存在価値、青年たちにとっての魅力はそこにあります。「私は何をすべきか」を強調するところに、YMCAとしての指針がある気がします。そしてまさに山口さんがおっしゃられたように、平和というのは相手と話し合い双方向的に「創っていく」ものであって、憲法9条の文中に平和が固定されてあるわけではない。
 では、具体的にYMCAはどうやっていくのか。それは、すべての青少年教育は平和を軸にやっていこうではないかと、それがYMCA全体が目指さなければいけない道だと思います。特に神戸の場合、多民族の都市ですね。これは考えていく上で、大事な要素です。他の国籍、他民族、他の文化を持つ人々を含め、多くの人に、神戸YMCAの活動に参加してもらう、これが平和につながることのひとつではないでしょうか。
山口 私は最近、「対話、理解、寛容」という3つのキーワードをよく使います。「対話」は、すぐ結論を急ぐのではなくカウンセリング・マインドをもって相手の思いをよく聴くということ。「理解」のためには、人間関係をどう作っていくのかというコミュニケーション能力をあえて育成する必要のある時代ではないか、と思います。「寛容」は相手を許し、認めることができるかどうか、ということ。それが私は、キリスト教教育あるいは宗教教育に最終的にはなるだろうと思うわけです。


平和教育の具体的実践としてのキャンプ


山口 そしてたとえばYMCAの一場面であるキャンプという状況の中では、これらのことを極めて大切に実践してきたということが言えるのではないかと。
小西 YMCAがキャンプ事業を大切にしてきたのは、口に出していないけれども、お互いが平和を守り、連帯していくためには何が必要かということを実行してきたと思います。神戸YMCAのキャンプをはじめた今井鎮雄さんは、海軍の航空隊士官だった自分の経験から、二度とこんなことをしてはいけないという、もの凄い信念でキャンプを創ったのですね。キャンプは平和のために必要だとはおっしゃらなかった。だから我々はついそんなことは関係ないつもりのときもあった。ところが、実はそうではなくて、彼の人生の中で大きな部分を占めるのは平和で、それが身にしみて大切だと、今井さんは分かっておられたと思います。


YMCA平和教育の表明について


小西 そして今、キャンプだとか体育だとかいうプログラムを、私たちは平和のためにやっているのだということを、これから口うるさく言う時代になってきたのかなと。つまり同時多発テロ以来、戦争は国と国とではなく、個人が自分の身を守るという次元になってきた。だから、個人が自分の身を守るために、個人が自分の中に何が平和かという概念を入れる必要があるのではないか、と思います。
 まず今YMCA、私が生涯教育委員長としてぜひやっていきたいことは、すべてのプログラムが実は平和を目標としているということを、掲げていく。専門学校、語学教室、すべてを神戸YMCA平和大学というような名称でくくって、これは一体何なのか、ということを皆さんが思えば、実は平和とはこういうことなのだと、これを実現するためにYMCAはプログラムを今やっていると。中国の人を日本語学校に迎えるために、神戸YMCAが責任をもって受け入れていきましょう。これも対話です。平和を生むもとです。あるいはサッカーでボールを蹴ることが何で平和につながるねん、という疑問が子どもたちから出てくると思う。その疑問が大事なのですよ。実は、一緒に力を合わせてやるということが、自分の身を守ることなんやでというような教え方をしてほしい。それが、これから平和を守るために大切になっていくのではないかと思います。


感  謝

神戸YMCA復興募金
大塚慎、学園都市ワイズメンズクラブ
2001年10月16日〜12月10日(敬称略、順不同)

賛助会会費
株式会社竹中工務店神戸支店
2001年10月16日〜12月10日(敬称略)

余島50周年記念募金
藤田潤、八幡恵介、松沢俊祐、高松市木太町保険委員会、上谷円、神戸西ワイズメンズクラブ、藤井とも子
2001年10月16日〜12月10日(敬称略、順不同)


NO.15 〜 余島 50周年 〜  “WHAT is YOSHIM

 余島50周年に際し、"余島が大切にしてきたこと"をもう一度考えたい、そして余島のことをもっと知ってほしいということでこのコ−ナ−が始まりました。
 ファミリーとファミリーが余島で出会いそして本当の「ファミリー」になっていく。

余島で「ファミリーの意味を考えさせられた」
  ロニー・アレキサンダー(神戸大学大学院教授・神戸YMCA国際活動委員)

年末年始を日本で一緒に過ごしたいと姉に言われたときは、正直いって焦ってしまった。年末年始は普段よりも物価が高いし、移動が大変。ちょうど悩んでいたときに、餅つき大会や初日の出の会など、それこそ「日本のお正月らしい」企画もあり、きれいな自然もあり自由に過ごせる「余島年末年始ファミリーパーティー」を奨められた。そこでプラス一匹でキャビンを借りて、ゆっくり過ごそうと考え始めた。
 ところで私はカイトが大好きだ。両手に糸をもって、広い空をスポーツカイトと一緒に踊っているときは嬉しさが全身に広がり、体も心も自由になる。スポーツカイトは昨年の秋に始めたばかりだが、一本の糸で操作する小さなパラフォイルを揚げただけでも、空に友達ができたような気持ちでやはり嬉しくなる。その快感を姉に教えてあげたいと思った。余島の佐久間さんから「余島の風は抜群。広い砂浜もある。カイトならOKだ」と電話で聞いたとき、余島行きが決まった(その言葉は後となって少々疑うようになったが・・)。
 余島に着いたとき、早速カヌーに乗った姉の嬉しそうな顔をみてホッとした。キャビンは予想以上に快適な空間で、プログラムも盛りだくさんで楽しそう。でも、最初の食事のとき卓上に「○○ファミリー」という札をみて、紹介があると聞いて戸惑ってしまった。案の定、おいしい食事をたっぷりいただいた後、それぞれの世帯主が「ファミリー」を紹介しはじめた。どのファミリーも親子の家族ばかりだった。私たちはそれと違って、国籍や性別もばらばらの大人4人だけだった。しかも4人の中で知り合ったばかりの人もいた。どう見ても、余島の普通の「ファミリー」じゃない。でも「ファミリー」として理解してもらいたい。順番がきたとき大きく息を吸って、緊張しながら自分のファミリーをあるがままの姿で紹介してみた。私にとって、初めての体験だった。
 思い出してみると、その後も色々なことがあった。朝一番のタコ釣り磯ツアーがタコなしツアーとなった。日が出なかった初日の出。船からの初日の凧あげも失敗に終わった。無風の日も嵐のような強風の日もあって、もってきたカイトのほとんどが、空を飛ばずに木登りや海水遊泳をして壊れた。風が強すぎて、姉にカイトを教えることはできなかったが、私は心に残るすばらしいフライトを何回かできた。カイトに興味を示してくれたり、感動したりする仲間もできた。
余島では言葉の問題等もあって、皆さんと直接接することはそれほどなかったかもしれない。でも一緒に子どもたちを見て笑ったり、美味しいものを食べて喜んだりしているうちに、次第につながりができ、余島ファミリーの仲間になることができた。やがて、食卓のあの札に対する違和感が薄らぎ、私たち4人も本当に「アレキサンダーファミリー」になった。余島で新たなファミリーができ、そして自分のファミリーを受け入れていただいたことで本当に嬉しかった。皆さん、本当にありがとう!


声援ありがとう〜第4回神戸YMCAチャリティラン〜

 第4回 神戸YMCAチャリティーランが11月18日(日)に神戸市北区の「しあわせの村」で開催されました。
 今回は絶好の運動日和の中、参加者257名を数え、ボランティア約250名に支えられて無事終了することができました。
 前回までの大会に引き続き、多くの団体、企業、個人の協賛をいただき、約150万円の収益が見込まれ、次年度の障害のある子どもたちの活動に用いられることになります。
 今年度は「スペシャルオリンピックス神戸」を通じて、障害のある方々が駅伝にご参加され、感動のゴールを見せていただきました。
 また、障害のある方々で結成された「筒井宮オールスターズ」の演奏が大会のムードをさらに盛り上げてくれました。
 競技への参加、ボランティア、協賛などさまざまな形でご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。


☆ひと☆下村俊子さん
このたび、神戸市産業功労者賞を受けられた。「お菓子を、産業と認めていただいた。社員みんなで受けた賞だと思っています」

徹底して謙虚な方である。下村さんを知る10人が10人とも「本当に腰の低い方」と賛嘆する。創業104年、神戸菓子の老舗「神戸A月堂」の代表取締役社長、神戸YMCAのお2人目の女性理事でもある。
 「男の人にぶらさがって生きるようでは、あきませんで」母上の言葉を胸に、代々続く「店の暖簾を守る」強い責任感と意志の力が、穏やかな微笑みを支えている。心を決めた人特有の、性根のすわった屈託のなさが印象的だ。
「私なんか、ほんとボーッとしてて」と謙遜されるが、どうして。11年前に亡きパートナーのあとを継ぎ「神戸A月堂」の社長に。折りしもバブルがはじけ、商売は冬の時代に、そして震災。不況。非常に厳しい状況下での舵取りを続けておられるのだ。「でもね、私らは空襲で焼け野が原になった神戸で、立ち上がってきましたのよ。それに較べれば、今は数段まし」。戦時の配給制の中、おいしいものを食べられない時代の体験も、下村さんにひとつの信念を与えている。「お菓子は、平和の文化の象徴だと思ってやっています」。
 子どもの頃、頌栄幼稚園でキリスト教に出会われた。神戸女学院時代は学生YWCAに所属、「半ば義務感でしたけれど」早朝礼拝や放課後の聖書研究に足しげく出席され、頌栄短大の2年時には余島キャンプにも「義務で」参加、しかしそれらを通して大きな感化を受けられた。受洗は高2のとき。「両親はクリスチャンではなかったけれど、リベラルな考え方の人でしたから、許してくれました」。卒業後は甲子園教会の武庫川幼稚園に1年間勤務、その後ご結婚、ご実家の仕事に子育てにと奮闘される。この時期「3人の子どもたちは、水泳やバスケット、キャンプやスキーで、神戸YMCAにお世話になりました」と語られる。
 今、精力的に取り組んでおられるのは、「元町ミュージックウィーク」や「神戸A月堂サロン講座」など、お菓子を軸にした神戸の文化振興、そして高齢者や病者にも受け入れられ、喜ばれる「人間の尊厳を守る食品」づくり。今の時代に大切なことは何なのか、アンテナを張って常に先を見ておられる姿に感銘を受ける。「でも社長がすべてやる訳ではありません。社員一人ひとりが自立して、お客様に喜んでいただけることを考える。そうした意味で、私は会社は共同体だと思っています」「こういった発想、価値観、人のつながりなど、私は教会でそれらの基盤を与えられた気がしています」。
 最後に、神戸YMCAに何を期待されるか問うてみたところ、即座に「理事ですから期待などと言うより、私が何をさせていただくべきか、の方に考えの重点があります。でも、あえて言うなら、神戸になくてはならない団体として、よい働きを続けてほしい」という答えが返ってきた。


社交ダンスクラブ50周年

去る 月4日、神戸YMCA社交ダンスクラブ創立 周年記念式が、ポートピアホテルに 名の参列者を得て開催されました。故水谷英三先生が1951年3月に神戸YMCA(当時は中山手会館)で社交ダンス講習会を実施されたことから、同年4月社交ダンスクラブが発足。創立当初から大体育館を舞台にしたクラブ活動の中心的存在であった同クラブは、神戸YMCA全体として見ても多くの青年リーダー、ボランティアを輩出してきました。他のフィットネスクラブにはない神戸YMCAの特徴あるクラブ・ムーブメント。それは、YMCAの根本精神を受け継ぐものです。これまでの歴史と伝統をたたえ、ますますのご発展をお祈りいたします。


第16回神戸YMCAクリスマスカードコンテスト

毎年行っている手作りのクリスマスカードコンテストも、今回で16回目を迎えました。100点近い応募作品の中から、下記の方が各賞に選ばれました。なお、応募された全作品は、12月18日から25日まで
神戸そごうで展示されました。
【幼児の部】  <最優秀賞> 宗行 里々子ちゃん
       <優秀賞>  西田 潤次くん 
              金子 美萌ちゃん
【小学生の部】<最優秀賞> 中川 かほりさん
       <優秀賞>  金子 茉央さん
        森本 真弘さん
      <YMCA賞> 大畑 耀くん
     <メネット賞> 若林 咲さん
<ワイズメンズクラブ賞> 古高 舞さん
ご応募いただいたみなさん、ありがとうございました。


斉藤美帆子さんチアリーディング
世界bP(元三宮Jr.体操メンバー・リーダー)

2001年11月18〜19日、国立代々木競技場で行われた「第1回チアリーディング世界選手権大会」に最年少の日本代表として斉藤美帆子さん(甲南女子大学2回生)が出場し、チア・ミックス部門で、見事優勝し、「金メダル」を受賞されました。日本代表は約300名の候補から選抜され、東京を中心に約1ヶ月の合宿で厳しい練習を重ね当日を迎えました。大小の故障を乗り越え、また、他チームで練習している選手と息を合わせるのに、言葉には表せないほどの苦労があったようです。斉藤さんは三宮ブランチで約 年間 .体操クラブに所属し、体の使い方、柔軟性等、チアリーディングに必要な基本を幼少時に学んだことが、現在に大きく役立っているとのことです。体操の現役を退いた後も、練習で忙しい合間をぬってユースリーダーとして後輩の指導をして頂いております。第2回の世界選手権は、2年後イギリスで開催されます。競技レベルが益々あがり、選抜されることすら難しくなると思いますが、イギリス目指して更なる練習に打ち込みますとのことです。 


 

「CAMPING AWARD」
  今井鎮雄さん受賞

今井鎮雄さん(神戸YMCA顧問)は、財団法人日本キャンプ協会よりキャンプ運動に多大な貢献をされた功績により表彰されました。


11月11日(日)国際活動委員会主催の
街頭募金が大丸神戸店前で行われました
募金145,228円は国際協力募金へ捧げられました


ネパールのNGO・CWINから学ぶ
「危機下にある子どもたちへの取り組み」というテーマでセミナーが開催されました(12月8日)
*CWIN-子どもの密輸、人身売買、商業的性的搾取からの保護に取り組む団体


第7回チャリティーワインを楽しむ会
イタリアワインとお料理を楽しみながら中世イタリアの歴史とワインの関わりを学びます
講 師 宮谷宣史さん(関西学院大学神学部教授)
日 時 2002年1月21日(月)
     午後6時30分より
会 場 神戸YMCA 4階レストラン
参加費  5,000円
問合せ先 神戸YMCA本部事務局
      TEL 078-241-7201


本のご紹介
 「鳴呼、中学生!!」著者 近藤正治
-お父さんお母さんを応援します-
      (文芸社 定価1,200円)
 著者は、神戸市教員として36年間奉職。
 神戸市立東落合中学校長を最後に98年定年退 職。現在、市立東灘図書館主任専門員、神戸Y MCAランゲージセンター英検面接委員
 [書評]ありがちな机上の教育論ではなく、長年 の経験に基づく実践的な知恵を父母に説く。
 著者は言う。「世の中の人々の心が明るくなる
ことが、教育が明るくなること」だと。


個 人 消 息

■退職
  田中あずささん(カレッジ職員)12月31日付
 ■職種変更
  寺田晶裕さん(準専任講師→非常勤講師)
  1月1日付
 ■お誕生
  田淵展子さん(西宮YMCALD非常勤講師)
  長男大夢(ひろむ)くん11月4日
 ■ご逝去
  黒田荘一郎さん(芦屋ワイズメンズクラブ元会  長)のご令室節子様10月28日
  高橋享也さん(元さんだワイズメンズクラブ)  のご令室登起子様12月6日
  岡野和枝さん(元西神戸YMCAリーダーOG)  のご尊父様11月23日
  酒井哲雄さん(ウエルネス委員)の妹様
  11月29日
  山田乃里子さん(YMCA保育園旧職員)
  12月3日
  酒谷理加さん(さんだワイズメンズクラブ)の
  ご尊父様12月7日
  佐藤 薫さん(西宮YMCA嘱託職員)のご
  母堂様12月13日
 ■受賞
  大江 浩さん(国際奉仕センター)「隅谷三喜男
   賞」受賞10月27日
  近藤奈津子さん(宝塚YMCAリーダー)
  神戸女学院より「大島はつえ記念賞」受賞